カスタマーハラスメント対策義務とは?従業員を守り、安定した料金回収を実現するために

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務となります。カスタマーハラスメントというと、店舗やコールセンターなど、顧客と直接接する現場の問題として捉えられがちです。しかし、企業における顧客対応は、接客の場面だけで発生するものではありません。

請求内容への問い合わせ、入金遅延時の確認、支払い方法の変更、未収金への対応など、集金業務の中にも顧客とのやり取りが発生する場面は多くあります。こうした業務を担当者の経験や個別対応に頼り続けると、従業員の負担が大きくなり、トラブル時の対応も属人化しやすくなります。

カスタマーハラスメント対策義務化は、単にクレーム対応マニュアルを整えるだけでなく、顧客対応が発生する業務そのものを見直すきっかけにもなります。特に、継続的な料金回収が発生する企業にとっては、請求・入金確認・未収対応を仕組み化し、従業員が安心して業務に取り組める体制を整えることが重要です。

そもそも「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは?

厚生労働省の指針では、カスタマーハラスメントを以下のように定義しています。

厚生労働省による定義
顧客等からのクレーム・言動のうち、「当該言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもの」であり、それによって「労働者の就業環境が害されるもの」。

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/11921000/000894063.pdf

これをもっと分かりやすく、ビジネス現場の視点で「2つの判断基準」に整理してみましょう。

基準①:「要求の内容」が理不尽かどうか(妥当性)
商品に欠陥があった場合、交換や返金を求めるのは「正当な要求(クレーム)」です。
しかし、「慰謝料として100万円払え」「社長をここに呼んで土下座させろ」「関係ない別の商品もタダにしろ」など、企業の落ち度に対して明らかに釣り合わない過度な要求は、内容自体が不当であり「カスハラ」に該当します。

基準②:「要求の手段・プロセス」が社会通念を超えているか(態様)
仮に顧客の要求自体(「返金してほしい」など)は正当であっても、その実現のための手段が常軌を逸している場合はカスハラになります。
例えば、以下のような行為がこれに当たります。

精神的な攻撃: 大声で怒鳴る、机を叩く、「バカ」「無能」などの侮辱、執拗な人格否定
過度な要求: 営業時間外の対応の強要、数時間にわたる拘束(居座り・電話の切断拒否)
個人の侵害: 担当者の氏名をSNSに晒す、無断でスマートフォンで動画撮影する

「正当なクレーム」と「カスハラ」の決定的な違い
正当なクレーム: 目的が「問題の解決(商品の交換やサービスの改善)」にあり、双方向の対話が成り立つ。
カスタマーハラスメント: 目的が「自身の感情の発散」や「過度な利益の不当要求」にすり替わっており、理不尽な攻撃が一方的に続く。

問題解決のための正当な意見には誠実に対応しつつ、手段が暴力的・理不尽な「カスハラ」に対しては一線を引いて組織でシャットアウトする。
この明確な基準(ものさし)をまずは理解することが重要です。

カスタマーハラスメントは接客現場だけの問題ではない

カスタマーハラスメントという言葉からは、店頭での接客、電話対応、問い合わせ窓口など、顧客と直接向き合う現場をイメージしがちです。もちろん、こうした部門では顧客対応の頻度が高く、トラブルが発生しやすいことは事実です。

一方で、バックオフィスや管理部門においても、顧客対応の負担は存在します。たとえば、請求書の内容に関する問い合わせ、入金が確認できない場合の連絡、支払期限を過ぎた顧客への確認、解約や返金に関する説明などです。

これらの業務は、ひとつひとつを見ると通常の事務対応に見えるかもしれません。しかし、支払いに関するやり取りは、顧客側も企業側も感情的になりやすい領域です。請求金額の認識違い、支払期限の勘違い、未入金に対する連絡、再請求への不満などが重なると、担当者に精神的な負担がかかるケースもあります。

特に、対応ルールが明確でない場合や、担当者ごとに説明内容が異なる場合、顧客とのやり取りが長期化しやすくなります。結果として、現場の担当者が個別に判断し、個別に謝罪し、個別に調整する状況が生まれてしまいます。

カスタマーハラスメント対策を考えるうえでは、こうした「顧客対応が発生しやすい業務」そのものを見直す視点が欠かせません。

カスタマーハラスメント義務化で企業側が雇用管理上必要となる措置

カスタマーハラスメント対策の義務化により、企業には従業員を守るための具体的な体制整備が求められるようになります。単に「悪質なクレームに注意する」という話ではなく、会社としてどのような方針を持ち、現場でどのように対応し、被害を防ぐのかをあらかじめ整理しておくことが重要です。

  • 1.「会社として許容しない姿勢」を明確にする
    企業側はカスタマーハラスメントに対する基本方針を明確にする必要があります。
    顧客からの暴言、威圧的な言動、長時間の拘束、不当な要求などに対してどこまでを許容し、会社として従業員を守る姿勢を明文化することが重要になります。
  • 2.従業員へ周知・教育する
    方針を作るだけでは不十分となり従業員に共有することが必要です。
    どのような言動がカスタマーハラスメントにあたるのか、発生した場合に誰へ相談するのか、無理に対応を続けなくてよい場面はどこかなどを、研修や社内資料で周知していきます。
  • 3. 相談窓口・報告ルートを整える
    カスタマーハラスメントが起きたときに従業員が相談できる窓口を整えることも重要です。
    上司、人事、管理部門、外部相談窓口など、相談先を明確にしておくことで、被害が起きたときに早期対応しやすくなります。
  • 4. 発生時の対応フローを決めておく
    カスタマーハラスメントが発生した場合、誰が事実確認を行い、誰が顧客対応を引き継ぎ、どの段階で対応を打ち切るのかなど、対応フローを決めておく必要があります。
    現場担当者のみがその場で抱え込む状況を避けやすくする必要があります。
  • 5. 再発防止・記録管理を行う
    カスタマーハラスメントが発生した場合は、内容を記録し、再発防止につなげることも必要です。
    日時、相手方、言動の内容、対応者、対応結果などを記録しておくことで、同様の事案が起きた際に組織として対応しやすくなります。

このように、カスタマーハラスメント対策では、方針の策定、従業員への周知、相談体制、対応フロー、記録管理までを一連の仕組みとして整えることが求められます。重要なのは、問題が起きてから現場担当者だけで対応するのではなく、会社全体で従業員を支える体制をあらかじめ用意しておくことです。

請求・集金業務に潜む顧客対応の負担

集金業務には想像以上に多くの確認作業や顧客対応が含まれています。たとえば、月謝、会費、サービス利用料、売掛金などを自社で管理している場合、毎月の請求、入金確認、消込作業、未入金者への連絡、再請求などが発生します。

入金が遅れた場合には、「いつまでに支払えるのか」「支払い方法を変更したい」「請求書を再発行してほしい」といった問い合わせが発生することもあります。また、振込名義が異なる、金額が一致しない、支払済みの認識に相違があるなど、確認に時間がかかるケースも少なくありません。

こうした業務が担当者の手作業に依存していると、件数が増えるほど負担も大きくなります。さらに、未収金の確認や督促に近い連絡は、担当者にとって心理的な負担になりやすい業務です。相手に支払いを促す必要がある一方で、顧客との関係性にも配慮しなければならないためです。

もちろん、すべての問い合わせや未収対応がカスハラにつながるわけではありません。しかし、集金業務の中には、顧客との認識違いや不満が生まれやすい接点が多く含まれています。だからこそ、属人的な対応に頼るのではなく、業務フローとして整理しておくことが重要です。

最後に|ジャックスの集金代行サービスが支える安定した料金回収

ジャックスの集金代行サービスは、口座振替やコンビニ収納代行などを通じて、企業の集金業務をサポートするサービスです。毎月発生する会費、月謝、利用料、売掛金などの回収に対応し、事業者の請求・入金確認・集金管理に関する負担軽減を支援します。

自社で集金業務を行う場合、顧客数や取引件数が増えるほど、担当者の作業量は増加します。入金確認や未入金者への連絡、消込作業、支払い方法の確認などに時間を取られ、本来注力すべき顧客対応やサービス改善に十分なリソースを割けなくなることもあります。

ジャックスの集金代行サービスを活用することで、集金業務の効率化だけでなく、顧客にとっても分かりやすく利用しやすい支払い環境を整えやすくなります。支払い方法や回収フローを整備することは、問い合わせや認識違いを減らし、結果として従業員の負担軽減にもつながります。

カスタマーハラスメント対策義務化は、企業にとって顧客対応のあり方を見直す大きな節目です。従業員を守り、顧客との健全な関係を保ちながら、安定した料金回収を実現するために、請求・入金確認・未収対応を“人任せ”にしない業務設計が求められます。

その第一歩として、集金業務の仕組み化を検討してみてはいかがでしょうか。

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