現金集金をやめたい、でもなかなかやめられない理由とは
現金の受け渡しや保管、入金確認、未収対応などを考え、「そろそろ現金集金をやめたい」と感じている企業は少なくありません。
実際、キャッシュレス化は着実に進んでおり、2025年の国内キャッシュレス決済比率は58.0%まで上昇しています。
(参照:経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260331006/20260331006.html)
それでも、介護・福祉、スクール、訪問型サービス、各種会費などの集金では現金での回収が残っているケースがあります。
そこには「昔からそうしているから」という理由だけではありません。
高齢の利用者が多い、口座登録をお願いしにくい、少額の未収に別の請求方法を用意するのが難しい、既存顧客への切り替え案内が負担になるなど、現場ごとの事情があります。
つまり、現金集金をやめるために必要なのは、「現金は非効率だからやめる」という判断ではなく、「なぜ現金が残っているのか」を分解することが重要なのでは無いかと考えます。
今回は、「現金集金をやめたい」と考えながらも切り替えられない企業に向けて、現場で起こりやすいケースとその状況に応じた集金方法の見直し方を考えていきます。
「利用者が現金を希望する」からやめられない
現金集金が残る理由としてまず考えられるのが利用者側の事情です。
高齢者の利用比率が高いサービスなどでは、クレジットカードやスマートフォン決済だけに支払い方法を一本化しにくいケースがあります。
- 介護・福祉サービス
- 地域密着型のサービス
- 訪問型サービス
- スクールや習い事
などでは、「これまで通り現金で支払いたい」という利用者が一定数あるのが事実です。
この場合、現金集金をなくすことを優先しすぎると企業側の効率化が利用者側の負担となってしまう可能性があります。
ここで考えたいのは、「現金を使えること」と「スタッフが現金を直接受け取ること」は別の問題だという点です。
例えば利用者が現金で支払うことを希望している場合、スタッフが訪問時に現金を受け取る方法ではなく、コンビニ収納を利用して、利用者自身に身近なコンビニで支払ってもらう方法があります。
利用者側から見れば、払込票を持ってコンビニ店頭で現金払いができるため、キャッシュレス決済への切り替えを求める必要はありません。これまで現金で支払っていた利用者にも、大きく支払い方法を変えてもらうことなく移行しやすい点が特徴です。
つまり現金という支払い手段を残しながら、現場スタッフを現金管理から切り離すことは可能といえます。
「現金をなくせないから現金集金もなくせない」と考えるのではなく、「誰が現金を扱うのか」を分けて考えることがポイントです。
「口座振替への切り替え手続きが大変」で進まない
口座振替へ切り替えたいと思っていても、実際には手続きの途中で止まってしまうケースがあります。
紙の口座振替依頼書を利用する場合は、
- 利用者へ書類を郵送する
- 必要事項を記入してもらう
- 金融機関届出印を押してもらう
- 書類を返送してもらう
- 記入漏れや印鑑相違などの不備を確認する
- 不備があれば再提出を依頼する
といった工程が発生します。
利用者側でも、「どこを書けばよいのかわからない」「届出印がわからない」「書類を返送するのを忘れてしまった」といったことが起こりやすく、企業側も未提出者への案内や不備対応が必要になります。
そのため、現金集金をやめるために口座振替を導入しようとしても、口座登録そのものが新たな事務負担になり、切り替えが進まないことがあります。
こうした場合は、全利用者を一斉に切り替えるのではなく、段階的に移行する方法も考えられます。
新規契約者 →口座振替を案内
既存契約者 → 順次切り替え
手続きが完了していない利用者 → 当面は別の支払い方法
といった運用です。
また、口座振替の登録方法自体を見直す方法もあります。
ジャックスでは書面による手続きに加えて、インターネット上で口座登録を行う方法や、キャッシュカードを利用したPay-easy(ペイジー)口座振替受付サービスも提供しています。
つまり、現金集金をやめる際には、「口座振替に切り替えるか」だけでなく、「どうやって口座登録してもらうか」まで設計することが重要です。
「現金集金をゼロにしてから新しい仕組みを始める」のではなく、新規契約者から切り替える、登録方法を簡素化するなど、現金集金を増やさないところから始めることが現実的なケースもあります。
「口座振替にしても未収が出る」から現金対応が残っている
口座振替を導入すれば、すべての現金集金がなくなるとは限りません。
残高不足などによって振替できない利用者が発生すると、その後の回収方法が必要になります。
通常時に口座振替になっていても、振替不能の場合にはスタッフが現金を回収、という運用になっていれば、口座振替を導入していても現金集金が残る可能性があります。
この場合に見直したいのは、口座振替そのものではなく、振替不能後の二次回収です。
ジャックスでは、口座振替できなかった利用者に対し、コンビニ払込票を入金案内状として利用する方法も案内しています。
振替不能時にはコンビニ払込票を送付という流れに変更すれば、スタッフが未収金を直接取りに行く必要を減らせます。
「口座振替を導入したのに現金集金がなくならない」という場合は、通常の集金ではなく、例外時の運用に現金が残っていないかを確認することがポイントです。
「少額だから今のままでいい」が積み重なっている
現金集金が見直されにくい理由の一つに、「一件あたりの金額が小さい」というケースがあります。
例えば月謝や会費などが数千円程度であれば、「これくらいならその場で受け取った方が早い」と感じることもあるでしょう。
しかし、企業側の負担は金額だけでは決まりません。
現金を受け取れば、受領→金額確認→記録→保管→社内への引き渡し→入金確認といった作業が発生します。
さらに利用者が不在だった場合や、支払いを忘れていた場合には再訪問や連絡も必要になります。
つまり「1件数千円だから小さな集金」ではなく、「数千円を回収するために何分かかっているか」という視点が必要です。
顧客数や拠点数が増えると、それまで問題にならなかった少額集金がまとまった業務負担になることがあります。
現金集金を見直す際には、回収金額だけではなく、訪問時間、確認作業、現金管理、未収対応まで含めた工数で考えることが重要です。
「長年この方法だから」が最大の壁になっている
現金集金を続けている企業では、業務として定着していること自体が、切り替えを難しくすることがあります。
利用者も現場スタッフも、「毎月この日に集金する」「サービス利用時に支払ってもらう」「月謝袋を渡して回収する」という流れに慣れています。
そのため、「大きなトラブルが起きていないなら変えなくてもいい」と判断されやすくなります。
しかし、現金集金の問題は必ずしもトラブルが起きた時だけ表面化するものではありません。
前回の記事でも現金集金には保管・確認作業、紛失や記録漏れ、スタッフ個人への責任集中など、日常業務の中に複数の負担があることを紹介しています。
だからこそ、
「今困っているか」ではなく、「今後もこの方法を続けられるか」
という視点で考えることが大切です。
- 顧客が増えても同じ方法で回収できるか
- 担当者が変わっても運用できるか
- 拠点が増えても現金管理できるか
- 集金担当者が不在でも回収できるか
と考えると、現在は問題なく運用できていても、将来的な課題が見えてくることがあります。
現金集金を「ゼロにする」より、「残す場所を決める」
現金集金の見直しでは、最初から「完全キャッシュレス化」を目標にする必要はありません。
むしろ現実的なのは、どの集金を仕組みに移し、どこだけ例外として残すのかを決めることです。
毎月の定額料金 → 口座振替
単発・追加請求 → コンビニ収納
新規契約者 → 最初から口座振替
既存顧客 → 順次移行
振替不能 → コンビニ収納による二次回収
こうして整理すると、「利用者が現金を希望するから」「既存顧客の変更が難しいから」「口座振替で回収できないケースがあるから」といった理由で、すべての現金集金を残し続ける必要はありません。
現金集金をやめることを一つの大きなプロジェクトとして考えるのではなく、現金が必要な場面を一つずつ減らしていく。
それが、長年続けてきた集金方法を無理なく見直す方法の一つです。
最後に|「やめられない理由」から集金方法を組み直す
現金集金をやめたいと思っていても、高齢の利用者への対応、口座振替への移行、単発請求、振替不能時の回収など、実際の運用を考えると簡単には切り替えられないことがあります。
だからこそ、「現金をやめるか、続けるか」の二択で考える必要はありません。
まずは「なぜ現金集金が残っているのか」その理由を一つずつ整理し、通常の請求は口座振替、単発請求や二次回収はコンビニ収納といった形で役割を分けることで、現金を扱う場面を段階的に減らすことができます。
ジャックス集金代行サービスでは、口座振替やコンビニ収納代行をはじめ、インターネット口座振替受付サービス、Pay-easy(ペイジー)口座振替受付サービス、払込票の発送など、集金業務に合わせた複数のサービスを提供しています。
「現金集金をすべてなくせるか」ではなく、まずは現在の集金業務のどこから現金を切り離せるか。
利用者への影響と現場の負担の双方を整理しながら、自社に合った集金方法へ少しずつ移行していくことが、現実的な見直しにつながります。
様々な集金代行サービスをご用意しております
貴社のニーズに応じた集金代行サービスをご提案させていただきます。
現金集金をやめたい、のになぜやめられない?切り替えを阻む課題と移行の進め方について解説しています。