未払いは、一部の企業だけに起こる問題ではない
商品やサービスを提供し、請求書を発行する。
企業にとっては日常的な業務ですが、そのすべてが期日どおりに支払われるとは限りません。
支払いが遅れれば、入金状況の確認や取引先への連絡、請求書の再送、支払予定日の確認など、請求時には想定していなかった業務が発生します。
そして、この「請求した後」の業務は、請求件数が増えるほど無視できない負担になっていきます。
今回は国内企業の支払遅延に関する直近の調査データをもとに、未払いはどの程度発生しているのか、なぜ支払いが遅れるのか、そしてその後の督促を企業がどのように考えるべきかを整理します。
日本企業の70%以上が「支払遅延」を経験
2026年7月Coface「アジア太平洋地域(APAC)支払動向調査2026」では、日本企業の73%が過去12カ月間に顧客の支払遅延を経験したと回答しています。
さらに、50%の企業が過去12カ月に少なくとも1社の顧客の債務不履行を経験、また28%の企業は1年前と比べて支払遅延の頻度と深刻度の双方が増加したと回答しています。
「未払い」「入金遅延」というと、一部の取引先だけに発生する特殊なトラブルのように感じるかもしれません。
しかし、直近の調査を見る限り、企業にとって支払いの遅れは決して珍しい事象とはいえません。
また、全国452社を対象に実施された別の国内調査でも、77%の企業が何らかの未払い・入金遅延を経験したと回答しています。
調査対象や設問が異なるため数値を単純に比較することはできませんが、複数の調査で7割を超える企業が支払遅延や未払いを経験しています。
「請求した料金が予定どおり入金されない」という状況は、企業にとって決して例外的な出来事ではないことが分かります。
参照元
- 「アジア太平洋地域(APAC)支払動向調査2026」
- 「未払い金回収・督促業務の実態調査」
なぜ未払いは起こる?顧客側だけが原因とは限らない
未払い・入金遅延が発生したとき、まず思い浮かぶのは顧客側の事情ではないでしょうか。
実際、支払いが遅れる理由には、
- 担当者が請求書を確認していなかった
- 社内の承認や支払処理に時間がかかっている
- 資金繰りの都合で期日どおりに支払えない
など、さまざまなケースがあります。
2025年に公表された日本企業のBtoB取引に関する民間調査でも、支払遅延の主な原因として、顧客の流動性の問題や支払プロセスの遅延が挙げられています。
また一部の業種では、請求内容をめぐる認識の相違も支払いが遅れる要因となっています。
しかし、未払いの原因が必ずしも顧客側だけにあるとは限りません。
例えば請求する企業側でも、
- 請求書の送付が遅れてしまい、相手先企業の締め日に間に合わなかった
- メールの送信先や郵送先が間違っていた
- 金額や振込先などの記載に誤りがあった
- 相手企業の支払フローやプロセスを把握できていなかった
- 契約内容と請求内容に認識のずれがあった
といった理由によって、支払いが止まる可能性があります。
例えば「期日を過ぎても入金がない」と連絡したところ、実は請求書が先方の担当者まで届いていなかった、というケースであれば、単純に相手へ支払いを催促するだけでは解決しません。
まずは「なぜ入金まで進んでいないのか」を確認する必要があります。
顧客側の支払い忘れなのか、社内処理の遅れなのか、資金繰りの問題なのか。それとも、自社の請求方法や案内に原因があるのか。
同じ「未払い」でも理由によって必要な対応は異なります。
入金期日までに入金確認が出来ない場合、相手先へ一律に電話やメールをするのではなく、まず原因を確認し、その原因に応じて次の対応を分けることが重要です。
参照元
- 2025年に公表された「日本におけるBtoB支払動向」に関する民間調査
督促をしているのは誰?経理と営業で約7割
未払いが発生した後、その対応を専門部署が担当している企業ばかりではありません。
ネットプロテクションズの調査では、未払い金回収・督促を主導する部署として、
経理:34.2%
営業:33.9%
となっており、両者を合わせると約7割です。
さらに、担当者1人あたりの督促業務について、31%が月10時間以上を費やしていると回答しているようです。
また、督促業務で感じる課題としては、「工数負担」43.2%、「心理的負担」24.7%となっています。
未払いが発生した際に必要になるのは、単に「支払ってください」と連絡することだけではありません。
「誰が未払いなのかを確認する」「取引履歴を調べる」「連絡する」「回答内容を記録する」「約束した日に入金されたか確認する」といった作業も発生します。
営業担当者が督促をしているのであれば、本来顧客への提案やフォローに使える時間が回収業務に置き換わっていることになります。
つまり、督促にかかるコストは、未回収になった金額だけでは測れません。
通常の未払いであれば、まずはこうした電話やメール、書面による入金案内や再請求を企業側で行うことになります。
それでも長期間支払いが行われず、単なる入金案内ではなく「債権をどのように回収するか」という段階まで進んだ場合には、弁護士などの専門家への相談が必要になるケースもあります。
また、債権回収を専門に行う「債権回収会社(サービサー)」も存在します。
サービサーは、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づき、法務大臣の許可を受けて特定金銭債権の管理・回収を行う会社です。
ただし、サービサーが扱えるのは法律で定められた「特定金銭債権」であり、企業が持つあらゆる未払い料金を自由に回収できるわけではありません。
そのため、月謝や会費、サービス利用料など、企業の日常業務のなかで発生する未払いについては、まず自社で入金案内や再請求を行い、それでも解決しない場合に次の対応を検討するという流れになるケースも多くあります。
ここで重要なのは、「回収が難しくなったら誰に依頼するか」だけを考えるのではなく、そこまで長期化する未払いをどう減らすかという視点です。
未払いが発生するたびに経理や営業が個別に追いかける運用になっていないか。どの時点まで社内で対応し、どこから対応方法を変えるのか。
督促業務を考える際には、回収方法だけでなく、社内での対応範囲や役割分担まであらかじめ整理しておくことも重要です。
参照元
- 国内企業452社を対象とした「未払い金回収・督促業務の実態調査」
- 法務省「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」
未払いを減らすには、集金方法と運用の見直しから
未払いが発生した後の対応方法を決めておくことは重要です。
一方で、督促業務の負担を減らすという意味では、未払いが起きてから対応方法を工夫するだけではなく、そもそも督促が発生しにくい集金の仕組みをつくることも考えておきたいところです。
例えば支払いが遅れる理由が「支払期日の忘れ」や「請求書の確認漏れ」であれば、督促担当者を増やすよりも、毎回利用者に支払い手続きを求める運用そのものを見直した方が効果的な場合があります。
集金代行サービスを利用すれば、企業が一件ずつ入金を依頼・確認するのではなく、口座振替などを通じて定期的な料金回収を仕組み化することもできます。
また、集金方法だけではなく、
- 請求や支払期日を分かりやすく案内する
- 入金結果を早く把握できるようにする
- 未入金になった顧客をすぐ確認できるようにする
- どの段階から個別連絡を行うか決めておく
といった運用面の整理も必要です。
ここで重要なのは、すべての未払いを同じ方法で防ごうとしないことです。
支払い忘れや手続き漏れであれば、集金方法や案内方法を変えることで発生を減らせる可能性があります。
資金繰りなどによって支払い自体が難しくなっている場合には、早期に状況を把握し、人による対応が必要になります。
つまり、仕組みで防げる未払いは仕組みで減らし、人が対応すべき未払いを早く見つける。
この状態をつくることが、督促業務の負担軽減につながります。
集金代行サービスも、単に「代わりに料金を受け取るサービス」と考えるのではなく、請求後の入金状況を把握しやすくし、担当者が個別対応する対象を絞るための仕組みの一つとして考えることができます。
最後に|集金代行は「支払い方法」だけで選ばない
集金代行サービスを検討するときには、どうしても「口座振替が使えるか」「コンビニで支払えるか」といった支払い方法に目が向きがちです。
しかし実際の集金業務は、料金を請求して終わりではありません。
予定どおり入金されたかを確認し、入金されていない場合には対象者を把握し、必要に応じて案内や督促を行うところまで続きます。
今回紹介した調査からも、未払い・入金遅延は決して珍しいものではなく、その対応を経理や営業が担っている企業が多いことが分かります。
そのため集金代行を選ぶ際には、「どの方法で支払ってもらえるか」だけでなく、「入金後の状況をどのように確認できるか」「未入金が発生したときに自社ではどのような対応が必要になるか」まで確認しておくことが大切です。
ジャックス集金代行サービスでも、料金の回収だけでなく、収納結果の確認や請求・入金に関わる各種サービスを提供しています。
これから集金代行を導入する企業ほど、通常どおり支払われるケースだけではなく、「支払われなかったときに何が起こるのか」まで含めてサービスを比較することが、導入後の督促負担を抑えるポイントになります。
様々な集金代行サービスをご用意しております
貴社のニーズに応じた集金代行サービスをご提案させていただきます。
未払い・入金遅延は珍しくない?企業の70%以上が経験する「未払い」と督促業務の実態について解説しています。